フィリピンには年間を通して、様々な祝日・祭日・休日があります。
熱心なカトリック教徒である多くのフィリピン人たちにとって、イースター、ホーリーウィーク(聖週間)は厳粛な思い出と喜びをもたらすシーズンです。
フィリピンでは「聖週間(ホーリー・ウィーク」という伝統行事があります。この行事は、イエス・キリストが受難、死、そして復活されたことを記念して盛大に祝われるものです。
イースターはキリスト教徒だけでなく、世界中の人々にとって新しい始まりや希望の象徴として重要な日となっています。また、日本でも見かけますが、多くの文化においては卵やウサギなどがイースターのシンボルとして使われます。
この記事では、フィリピンの聖週間の伝統や祝祭について紹介していきます。
ホーリーウィーク(聖週間)について
イースターについてお話する前に、まずホーリーウィークについて述べておかなければなりません。
フィリピンのホーリーウィーク(聖週間)は、イエスの苦しみから救いへの旅を記念して、カトリック教徒が精神的にリフレッシュする時です。
フィリピンの人々は厳粛な儀式に参加したり、伝統的な活動に参加したりしてこの1週間を過ごします。
なお、フィリピンではこの期間中、肉、卵、酒、乳製品を食べないこととされています。
ホーリーウィークはいつ?
ホーリーウィークは毎年日付が変わる移動祝日で、3月22日から4月25日の間に設定されます。
春分の日を過ぎた最初の満月の次の日曜日がイースターとされ、それに伴って他の祝日も決定されます。
聖週間は、「イースター(復活祭)」である、日曜日の4日前の木曜から始まり、パームサンデーからブラックサタデー、そしてイースターサンデーまでの期間を指します。
今年の日程を確認したい方は、以下のページで確認できるるようにしてありますので御覧ください。
イースターとは
イースターとは、ホーリーウィークにおけるキリスト教の祭日の一つで、イエス・キリストが復活されたことを記念する日です。イースターは「復活祭」とも呼ばれます。
この日は通常、春分の日の後の最初の満月の日曜日に祝われます。
ホーリーウィークを時系列で紹介
パーム・サンデー:ヤシの祝福と行列
ヤシの日曜日(パーム・サンデー)は、イエスのエルサレム入りを記念し、イエスが十字架にかけられるまでの地上での最後の1週間を観察する日です。
この日、イエスのエルサレム入りを記念する教会の礼拝では、ヤシの葉が祝福されます。
午後には「荘厳な行列」と呼ばれるパレードが行われ、カトリックのメンバーが集まり、ヤシの葉を使ってイエスの入場が再現されます。
ホーリー・マンデー&ホーリー・チューズデー:懺悔の実践とVisita Iglesia
聖なる月曜日と火曜日(ホーリー・マンデー&ホーリー・チューズデー)は、フィリピンの人々がVia Dolorosa(カルバリーへの道)を横切るイエスの悲しみについて考え、黙想することを奨励される懺悔の2日間です。
また、この期間には教会を訪れて祈りや内省を行う人も多いです。
この時期ロザリオの悲しみの秘儀を祈り黙想するために、7つの教会を訪問する「Visita Iglesia」を実践する人もいます。
ホーリー・ウェンズデー:テネブライ礼拝と三位一体への準備
聖水曜日(ホーリー・ウェンズデー)は、イエスがユダに裏切られ、弟子たちから見捨てられた日です。
通常、この日は静かに黙想する日であり、「テネブライ礼拝」と呼ばれる、イエスの苦悩の闇を象徴するためにロウソクを1本ずつ消していく祈りが行われます。
その後、教会はイエスの受難、死、復活を3日間にわたって記念する「三位一体」の準備を始めます。
マウンディ・サーズデー:最後の晩餐と足の洗礼を記念
聖木曜日(マウンディ・サーズデー)は、イエスの最後の晩餐と、その晩餐で弟子の足――自分より地位の低い人や貧しい人――を洗ったことにちなんで、「他人を愛せよ」という最後の戒めを祝う日です。
日中は特別なミサが行われ、司祭が伝統的な「足の洗い方」を行います。
その後、教会に行く人は最後の晩餐を再現したり、小グループで集まって共同食事で祝います。
グッド・フライデー:イエス・キリストの受難と死を追悼する日
聖金曜日(グッド・フライデー)は、十字架刑に処されたイエス・キリストの受難と死に捧げられる日です。
この日、教会では特別な礼拝が行われ、イエスの7つの最後の言葉が捧げられます。なお、この日は悲しみの雰囲気に合わせて、教会では音楽が禁止されています。
フィリピンのカトリック教徒の中には、カルバリーに向かうイエスの苦しみを再現する「Visita Crucis(14の十字架の駅めぐり)」を行う人もいます。
一部のカトリック狂信者たちは、このお聖金曜日に血まみれで生々しい背中を鞭で打ちながら町中を練り歩いたり、イエス・キリストが十字架刑に処されたシーンを再現するところもあります。(ボランティア志願者者を募り、刑の再現では実際に手のひらに杭を打ち込む)
ブラック・サタデー:復活祭の祈りと歓迎
聖土曜日(ブラック・サタデー)は、イースターサンデーを前にして、期待に胸を膨らませる日です。
この日、教会では四旬節の終わりを告げる特別な礼拝「イースター・ビジル(Easter Vigil)」が行われます。徹夜の祈りを意味します。
イースター・サンデー:復活のミサと歓喜の祝賀会
復活祭の日曜日(イースター・サンデー)は、イエスの復活を祝う日であり、ついにホーリーウィークの終わりを告げる日です。
聖母マリアと復活したイエスの出会いを再現する「サルーボン(Salubong)」で祝宴は最高潮に達します。
イースター・サンデーは、楽しいイースター・シーズンの始まりであり、その間、さまざまな伝統的な行事が行われます。
この日、教会では特別なミサが行われ、フィリピン人はイースターエッグハント、家族団らん、ご馳走など、楽しい数々の行事に参加します。
イースターの伝統的な定番料理
イースターまでの期間は、精神的な準備を行う期間とされ、一部の教派では、肉、乳製品、卵、アルコールの摂取などが禁じられることがあります。
イースター当日にこれらの節制が初めて解禁となるため、イースターの料理・食べ物としては、次のような肉や卵を使った定番の伝統料理が振る舞われます。
お祝い事に定番のフィリピン料理
- Morcon – モルコン:ソーセージ、ニンジン、ピクルス、チーズ、卵などが詰められているフィリピンの肉巻き
- Ensaymada – エンサイマダ:チーズ、バター、砂糖をのせたブリオッシュ状のパンケーキ
- Tsokolate – チョコラテ:フィリピン版のホットチョコレート
- Bibingka – ビビンカ:ココナッツミルク、卵、バターで煮込んだベイクドライスケーキ
まとめ:フィリピンにおける聖週間(ホーリーウィーク)の意義
フィリピンのカトリック教徒にとって聖週間(ホーリーウィーク)は、イエス・キリストの受難、死、復活を思い起こし、精神的に生まれ変わる時です。
期間中の伝統と祝典は、どんなときでも信仰を貫く動機付けになるものといえるでしょう。
この期間にフィリピンに滞在していたら、一度はこのイベントを体験してみるのも良いかもしれませんね。